最終報告

大阪生涯学習情報コンソーシアムの取り組みについて


○協力機関との連携の在り方について

当コンソーシアムは大阪府、柏原市、藤井寺市、大阪大学、放送芸術学院、株式会社イングラムジャパン、e-Kokoro協議会、すなわち行政、大学、専門学校、企業、教育支援団体から構成されました。

良質なコンテンツを提供し、撮影や編集、制作するということにおいてはコンテンツ制作を専門とする企業、民意に沿ったネタを提供する行政、高い専門性および科学の先端に関する内容を生涯学習情報として広く提供する大学、またそれらの組織間連携をスムーズに行う教育支援団体などそれぞれの組織が相互に力を発揮することにより、効率的に複数のテーマからなるコンテンツ提供が可能となり、大阪地域における産官学連携による生涯学習コンテンツ作りのモデルとなりました。


・ 「高井田横穴古墳の線刻壁画は語るー大和川と古代日本の展開ム」柏原市
・ 「大和川と古代日本の展開ム河内の歴史を訪ねてー」柏原市
・ 「コミュニティ・ビジネス 基礎編」大阪府(商工労働部)
・ 「コミュニティ・ビジネス 実践編」大阪府(商工労働部)
・ 「子どもは宝やでー子育て・親育ちー」大阪府(教育委員会)
・ 「みんなの劇団ワイワイ子育て」大阪府(教育委員会)
・ 「話しましょう!子育て親育ち」大阪府(教育委員会)
・ 「植物生態学とタンポポ戦争」大阪大学大学院(工学研究科)
・ 「日本発!みんなで国際ボランティア講座(1)」大阪大学大学院(人間科学研究科)
・ 「日本発!みんなで国際ボランティア講座(2)」大阪大学大学院(人間科学研究科)



○学習コンテンツの制作に関して工夫した点

・ テーマ選びの工夫(社会的要請に基づく内容、ニーズ調査等) 常に民意を反映し、先取り努力をする大阪府からは府民より人気が高く、地域住民の生活に密接に関わる課題を解決するためにビジネス的手法で取り組む従来からの大阪府の事業としてきた地域のボランティア活動を促進する「コミュニティー・ビジネス」、

家庭教育や子育て啓発のために制作された「子どもは宝やでー子育て・親育ちー」「みんなの劇団ワイワイ子育て」「話しましょう!子育て親育ち」を取上げました。

大阪府柏原市では、地域素材を活用、アニメーションやイラストで分かりやすく解説したコンテンツを作成し、学校教育や各市における地域の生涯学習素材として幅広く共同活用できる「高井田横穴古墳の線刻壁画は語るー大和川と古代日本の展開ム」「大和川と古代日本の展開ム河内の歴史を訪ねてー」を取り上げました。

大阪大学においては、高度な専門性の追求と研究・開発・教育の推進を行う中「植物生態学とタンポポ戦争」では、タンポポを例に、在来種と帰化植物の関係を解説し、植物生態学の面白さをわかりやすく解説しました。大学での取組みは研究・開発・教育だけでなく、地域の中で住民とともに生きる存在として、地域及び国際社会貢献にも力をいれています。

その一環として人間科学研究科ボランティア人間科学講座「日本発!みんなで国際ボランティア講座(1)」「日本発!みんなで国際ボランティア講座(2)」を地域公開講座として開講しています。その情報を本事業用に編集制作し、ボランティアの在り方についてまとめました。


・ 既存のコンテンツの有効活用方法 当コンソーシアム参加の大阪府教育委員会では、平成15年、16年に地域教育振興課が地域のさまざまな課題解決に向けた実践的活動を紹介する「まなび ふれあい まちづくり プロジェクト」で映像化され、広く府域に普及を目的としたものを当事業で再利用し有効活用しました。

「大和川と古代日本の展開ム河内の歴史を訪ねてー」では、柏原市が広報用に作成されたVHSビデオを部分活用しました。地域住民向けの内容に全国放送向けに修正を加えそれらを簡潔にまとめました。


・ 著作権処理 既存のコンテンツを活用する際に障害となるのは、著作権処理についてです。映像化にあたっては、一般的には映像製作会社が事業ごとに委託された契約にもとづいて著作権を処理していきます。契約元が全体の著作権を、部分的な素材となるイラストや出演者の肖像権は作成者や出演者の権利となり、再利用は困難となります。

当コンソーシアムでは教育用利用に限り二次利用(エル・ネット配信基準のA・B)を承諾していただくよう説明し理解していただいた上で、インターネット配信(全国配信)、エル・ネット配信(基準A・B)への承諾を行い、場合によっては肖像権処理(様式2の演じるもの)を必要とするものも行った。

新規で作成するコンテンツについては、公開講座や多くの聴衆者を撮影するとき、事前に収録の目的や内容を説明し場合によっては画面に入らない場所への移動など協力いただいた。


※インターネット配信用コンテンツの制作の実施、その工夫について 当コンソーシアムでは、当初よりエル・ネット配信及びインターネット配信を計画していましたので、章立てとそれらをつなげたストーリーの展開で考えました。

エル・ネットでは30分を継続して放送できますが、インターネットの場合、配信用サーバーへの負担を軽減し、ユーザー(受信者)の様々なインターネット環境に適応したコンテンツ配信が必要となります。それにはできるだけ軽く圧縮し、なおかつ見やすさを考慮するとき映像の質も問われます。

現在のところ300Kbpsと500Kbpsの2種類でそれぞれ1分につき1.5Mと3Mぐらいになるよう圧縮をかけています。また、映像の長さに関しては、一方向の配信コンテンツの場合、集中して見られる時間を考慮し10分以内に収めることとしました。しかし、途中で切れると分かりにくい内容に関しては、長さよりも内容を重視し作成しています。



○学習コンテンツの発信に関して工夫した点

(エル・ネット配信のほかに、生涯学習機会拡大のための発信を実施したか。) エル・ネット配信による放送後、柏原市では、元になるデータを活用し学校教育での教材や市内外に広く柏原市の存在を訴える材料として利活用する予定です。

※インターネット配信の実施、その工夫について 現在インターネット配信準備のため途中経過をご報告します。配信用サーバーはコンソーシアム参加機関であるe-kokoro協議会が提供する予定です。動画配信を行う事ができる専用サーバーにて本事業のホームページを作成し、できるだけ多くの方に閲覧していただくため、内容の紹介やその情報をテキストにより提供し、シンプルで見やすい構成にしました。



○学習コンテンツの活用に関して

当コンソーシアムでは「子どもは宝やでー子育て・親育ちー」が10月18日に放送されました。他9本は平成18年2月、3月となり活用報告は、現段階ではご報告が間に合いませんでした。10月18日には、大阪府柏原市では国分図書館でエルネット受信ができ、「オープンカレッジ」Vol23を配布することにより多くの市民の方が集まられました。そのときの様子が下の写真です。

時期的な問題で市が発行している広報誌にのせることができませんでしたが、これから放送される予定の番組を紹介する予定で進められています。

・ 活用の形態・方法 エル・ネット配信局から受信された映像をVHSに録画し各関係団体で活用しました。

・ 地域における広報 当コンソーシアムでは、(財)日本視聴覚教育協会から配布された「オープンカレッジ」Vol.23を各関係機関や協力者に配布し広報活動に活用しました。

代表機関である柏原市では、3月放送予定の「高井田横穴古墳の線刻壁画は語るー大和川と古代日本の展開ム」「大和川と古代日本の展開ム河内の歴史を訪ねてー」を広報誌にて市民に配布する予定です。 10月放送された「子どもは宝やでー子育て・親育ちー」は、市立保育園内で視聴会が催され保育園に通う子どもの両親から人づてに広まり多くの方の意見が聞かれました。

・ 学習者からの質問対応 全コンテンツの問い合わせをFAXにて可能としました。各コンテンツのレジュメ及びテキストの下段部分に問い合わせ先の番号を記載し、いつでも対応できるようにコンソーシアム連絡担当者の所属先e-kokoro協議会に連絡が入るようにしました。そして、平成18年4月からインターネットを通じて問い合わせができるようにする予定です。

・ ヒアリング・アンケート調査結果 10月放送「子どもは宝やでー子育て・親育ちー」についてのアンケートを行った。

映像内容についての質問に、男性は「ふつう」と回答し、女性は世代に関わらず「参考になった」あるいは「大変参考になった」と回答しています。

これは、今回の映像の内容が女性にとっては共感しやすい、身近に感じられるものであるが、男性には面白みに欠ける、あるいは訴えるものが少ない内容であったとも考えられます。

また、補助テキストについては「あったほうがよい」との回答が多い一方で、内容についての評価は無回答が多い。これは今回のテキストが視聴者の望む内容と一致していなかったのではと推測できます。

学習映像は視聴者の世代や性別を特定したものではないため、ターゲットを絞りにくい内容となるが、それは補助テキストでも十分に補うことが出来、その後の放送番組補助テキストに多いに参考となりました。



○その他(今後の課題)

当コンソーシアムでは10本のコンテンツを異なるテーマで作成しました。それは、コンテンツごとの構成、打ち合わせを含む関係団体や人との調整、著作権処理、事業経費の管理などとても時間がかかりました。

特に困難なのが公開講座の開催で、テーマにより受講する対象者が異なるためまとまった受講者が集まりにくく、公開講座の内容が適切であったかどうかの評価がとれませんでした。

コンテンツ制作及び配信については充実していたが、活用(例えば公開講座など)やその広報活動が少なかった。それらの原因は、多くのコンテンツが2〜3月放送となり活用に至る物理的時間がなかったことが考えられます。コンテンツ(内容)について地域にとけこみ変化していく内容と、IT利用による生涯学習のあり方を今後の研究・開発としたい。


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