平成17年度のコンテンツ 事業内容 このサイトについて お問い合わせ

中間報告

大阪生涯学習情報コンソーシアムの取り組みについて

○参加機関の連携・協力内容

本コンソーシアムは大阪大学を中心とし、行政側は大阪府、柏原市、藤井寺市、制作側としてはMイングラムジャパン、放送芸術学院、全体の統括プロデューサーとしてe-Kokoro協議会(先進的教育情報環境整備推進協議会)から構成された産官学連携組織である。

行政側の役割は民意に添ったニーズの抽出やリソースの提供、生涯学習の場の提供などがある。
大阪大学は公開講座やニーズに合った講座のアレンジ、Mイングラムジャパン及び放送芸術学院はインターネット配信を含めた制作を行っている。
e-Kokoro協議会(先進的教育情報環境整備推進協議会)は各組織間の連携と本事業がスムーズに行えるよう全体統括していると同時にインターネットサーバーの提供を行っている。

本事業をより効果的に実施するためにも各組織に偏ることは避け、それぞれの特色、専門性やリソースを相互に活用できることを目的として本コンソーシアムが形成されている。

○学習コンテンツの制作について

(1)制作方法
全てのコンテンツについては新規制作とした。
収録編集種類は3パターンに分類できる。

1.公開講座を撮影し、話者の提示資料のインサート編集を行っている 
2.大学内の簡易スタジオで収録し、資料を話者のストーリーに添ってリニアに提示できるように編集している。
3.シナリオに従い数ヶ所のロケ(登場人物の職場など)を行うと同時に中心登場人物はスタジオで撮影し、編集を行っている。

本年度の公開講座やリソースとなるコンテンツが存在しないため全てを新規制作とした。

(2)制作に当たっての工夫した点
1.エル・ネット配信用
公開講座を撮影したコンテンツは視聴者の理解を促進するため提示用のPowerPointデータを別に頂き、編集上でインサート編集を行った。
話者が静的に長時間登場することによる単調さを避け、プロジェクター用スクリーンに映された提示資料を別に扱うことにした。
ロケ撮影を行ったものについてはカメラマン、タイムキーパー、音声など本格的撮影チームを編成した。
家庭用ビデオを使った簡単な撮影でも制作することができるが撮影される側の緊張感も重視した。

2.インターネット配信用
コンテンツ制作は全てをデジタル撮影、ノンリニア編集としたのでインターネット配信用コンテンツとしてのリパーパシング(再目的化)作業が容易になっている。
しかし、以下のことに留意しなければならない。

年々、インターネットが高速となり、家庭用でもブロードバンド化が進んでいるが同時にネットワークのトラフィックも増大している。
安定視聴のためにはどれくらいのスループット速度があれば良いのか?ということを考える必要がある。
本制作では高速と低速回線でも安定した視聴ができるように2つのバージョンを制作している。

また、デジタルのノンリニア性を考えて、45分のコンテンツの目次を作り、ワンクリックで見たいところが視聴できるように工夫している。
また、コンテンツ内に使われている資料もデータで提供できるよう工夫している。
一方通行で流れるエル・ネット配信に比べてより深い学習が行えるようにデジタルの長所を活用するように留意している。

3.制作に当たっての課題
・エル・ネット配信用
一般の方が参加している公開講座の性格上、肖像権等に抵触しないよう撮影には細心の注意を払うことが必要である。
公開講座収録前には必ず撮影の目的をお話をさせて頂き、少しでも映像に入ることを避けたい方は場所を移動して頂いている。
また撮影時間が90分となる公開講座では45分に編集することからどうしてもストーリーがうまくつながらないところも生じ、編集上で労苦を伴うが、一度全ての撮影データをデジタルに置き換え、ノンリニア編集することにより編集作業の軽減を図っている。

・インターネット配信用
インターネット配信する場合、他コンソーシアムとのフォーマットを統一することが必要であると思われる。
配信フォーマットを規定することで利用者側、また制作側も混乱を避けることができる。
用いるプレーヤーソフト、画面の大きさ、配信スピードなどを統一することである。
配信するコンテンツ数が増えると利用者側のニーズに応える検索システムも必要になるのではないだろうか?
デジタルは簡単に扱えるように思われるているが、制作時には将来の利用計画、また他メディアへの再利用を考えた戦略的意図がたいへん重要になる。
「濃いジュースはいくらでも薄くできるが、いったん薄くしたジュースは濃くならない。」それがデジタルを扱う心構えである。

○学習コンテンツの配信に関して工夫した点や問題点・課題
インターネットにおいても多様化する配信手段も検討しても良いのではと感じている。
具体的にはPODCASTING配信である。
PODCASTING配信をすることにより、視聴者がiPodのような携帯端末で通勤時など場所や時間的制約を越えて学習する場が広がる。

また、インターネット配信コンテンツ用のポータルサイトを文部科学省側で運営することが今後さらに求めらるのではないだろうか?
エル・ネットではそれぞれの地域や団体の特徴を活かしたコンテンツがたくさんあるが、閲覧できる場所と日時が限定されるエル・ネットでは学習利用活性度がどうしても低くなる。

今後はいつでも、どこでも学習の場が実現できるユビキタス的生涯学習の場をテクノロジーの進化に伴い、より一層取組む必要があると考える。

○学習コンテンツの活用について
現時点(11月24日現在)では研修会や講座は行っていないが、エル・ネット受信局を持っている自治体と調整中である。
実施時には副教材として講義中に登場する提示資料のハードコピーを配布する予定である。
インターネット配信では提示資料については順次PDF化を行う。

また、エル・ネット配信の場合は放送日時や視聴場所も限定され、番組に興味があっても時間を確保し実際に足を運んで学習することが困難な方たちがたくさんいると思われる。
受信施設(特に図書館や文化施設など一般の方たちが通うことのできる公共施設)には要望があればDVDやVHSで番組を提供する用意をしている。

また、受信施設以外での要望にも応えられるようにインターネットHP上にもコンテンツ貸出についての情報を提供する。


○成果と課題
前年度は参加団体からの要望を集めたことにより、コンテンツ内容も大阪府は「子育て」「コミュニティ・ビジネス」、柏原市は「地域の歴史」、大阪大学は「ボランティア」と数種類になったが、今年度事業においては社会貢献への関心が高まり、また社会への再チャレンジを図る手段になればと考え、数少ないボランティア学科を有する大阪大学ボランティア学科の公開講座を中心に制作した。

また産官学連携により教育の情報化支援を大阪大学と共に積極的にボランティア活動を行っているe-Kokoro協議会(先進的教育情報環境整備推進協議会)の地域活動も合わせて、全コンテンツに「ボランティア」という柱を作ることができた。
そして、ひとつのテーマを様々な取組みを通じシリーズ化することにより、生涯学習における広がりと深みのある学習に繋げることができた。
学習意欲のある視聴者にはさらにインターネットで何度でも視聴することも可能となった。

また、制作ではコンテンツ制作当初よりフルデジタル化することにより、インターネットやDVD、VHSなど他メディアへの移行も簡単になり、学習の機会を増やすことができた。
受講した方たちにも今後は修了証などを発行することにより、学習したことを体感して頂き、実際の社会活動の中で活かせる入り口作りを各組織と連携して構築できるのではないかと考えている。
受講した方たちへ実際のボランティア募集の案内を行ったりすることも予定しているが、学習したことが実際の活動に活かせることが大きな成果であるとも考えている。

そして課題については、インタネット配信の部分と重複することであるが、インターネット配信の際の規格化が必要である。
また、全体を統括するポータルサイトの構築も重要となる。ポータルには貸出し提供などの情報も必要である。
また、他メディアへの展開を考えると予算的にも現在のものより増やす検討が必要である。

最終報告

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